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ソプラノリサイタル「恋文」に寄せて

2025/2/22


ソプラノ: 篠田弘美・ピアノ: 吉田雅博
ソプラノ: 篠田弘美・ピアノ: 吉田雅博

椿の花が凛と咲き、梅の香りが漂い始めました。浅春の候、お変わりなくお過ごしですか。

4月6日のリサイタルに向けて、じっくりゆっくり歌いこんでいこうと思っておりますが、一日が瞬く間に過ぎていくように感じられるこの頃です。このままで はたして…という気持ちを日々なだめています。リサイタルでは全15曲を歌います。ラインナップはこんな感じです。

ネル

フォーレ

愛の唄

フォーレ

マンドリン

フォーレ

木馬

ドビュッシー

「ディノーラ」より 影の歌

マイアベーア

「夕鶴」より これなんだわ、お金、お金

團伊玖磨

「夕鶴」より さようなら

團伊玖磨

夢みたものは・・・・・・

木下牧子

妖精のワルツ

湯山昭

舟唄 ~片戀~

團伊玖磨

出船

杉山長谷夫

中田喜直

つるぎの歌

小林秀雄

たたえよ、しらべよ、歌いつれよ

山田耕筰

私に歌があればこそ

朝岡真木子

恋文というテーマで選んだ作品です。憧れのような淡い思いから、すべてが輝いて見える恋。恋すればこそなくしたくないと思う心情。ささやかな平穏を愛しく望む気持ち。どうしても気持ちが伝わらないもどかしさ、悲しさ。いとしい人を守るため剣にもなろうとする激情。歌に託したい祈るような思い。その歌に片思いしている自分。実は愛されていると感じられる幸福感。日により時により、また年月を経てこそ感じる愛しさ恋しさを、等身大の私で歌い綴っていきたいと思います。とは言え今の私は、ある所の力を抜こうとして抜けず、力強くありたい所は力が足りず、あべこべと矛盾の繰り返し。それでも毎日元気に歌えることに、喜びいっぱいの日々です。


歌い手である私たちは、素晴らしい歌を知る機会に恵まれています。胸の奥が捉えて離さないような作品に出合うと、恋に落ちるように練習を始めます。しかしこんなに好きで大切で歌いたいと思っているのに、なかなか思いが通じない・・声もでこぼこで少しも素敵じゃない・・長らく片思いが続きます。毎日アプローチしているうちに相思になることもあるけれど、ついぞ叶わなかった歌もたくさんあります。そもそも声域や声質が合っていないとか、それを歌うだけの実力や経験が伴っていないなど、様々な理由でレパートリーにすることができません。でも、好きなのです。そこが切ないのです。決して私が悪いのではなくて、その時ご縁がなかっただけ。そして私と相性の良い素晴らしい曲は、無限と言えるほどあるのです。歌とのめぐり会いと人のご縁は、よく似ているなあと思います。


さあ、今日もうきうきと心をこめて練習に勤しむことにしましょう。4月6日のリサイタル「恋文」、あらためまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。


篠田弘美

 

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