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リサイタル「恋文」御礼

  • 執筆者の写真: 友昭 鈴木
    友昭 鈴木
  • 4月26日
  • 読了時間: 4分

2025/4/26


葉桜は山に溶け入り、山は柔らかな緑に輝いています。4月も半ばを過ぎました。新年度のスタートは順調ですか?


2025年4月6日は、私の13回目のリサイタルでした。「恋文」~いとしい人、ささやかな~ 満開の桜と満席のお客様とともに、おかげさまで無事終演することができました。心より厚く御礼申し上げます。実は何の余裕もなく、からがらゴールにたどり着いたというのが本音です。


何日も前から緊張感が高まり、身体も元気で声の具合も良いのに、ほんの少しの咳やくしゃみ、のどが乾くことにもあたふたと対応し、涙ぐましい心配ぶりでした。これまでは負の思いはコントロールし明るく思い直すようにしてきましたが、今回は自分がどんな心の状態を経て本番を迎え終えるのかを、じっくり観察しようと決めていました。一日の内でどきどきしている時間が次第に長くなり、気づくと息をしていないような時もありました。突然歌詞が思い出せなくなって必死に手繰り寄せたり、あそこのあの音はこうすれば歌えるのではないかと思いつき、試してがっかりしたり、数日前のことですが笑えるほどあたふたしていました。幾日かをそのように過ごしてそのあとには、あきらめと確信のないまぜになったような静けさが待っていました。自分の器以上の、いえ、自分以外の歌は歌わなくて良いという気持ちです。どの音も旋律も、できる限り丁寧に大切に歌うだけでした。


そんな淡々とした心境で当日を迎えました。ホールスタッフの方々の仕事を超えた心配り、朝一番からわたしのサポートに入ってくれた友人、その献心に感激して有り難さがこみ上げてきました。開演してみると花が咲いたようなまんせきのお客様。あの方もあの方も、えっ、あの方もこの方もご来場下さっていました。どなた様からも、頑張れ、大丈夫だからというテレパシーが伝わってきました。それまでの練習が、かなりオーバーワークだったので、声は限界に近づきつつありましたが、ピアニストの揺るぎない音楽とお客様の祈るような励ましのお気持ちのおかげです。約2時間のプログラムを歌いきることができました。



アンコールには創作オペラ「紙すきのうた」より「紙すき歌」を歌いました。20年以上ゆきという役を主演させて貰った作品です。この歌と共に打ち上げられる幸せを嚙みしめ、泣き出したい気持ちで歌い始めました。すると客席のあちらこちらから歌声が…。初演をご一緒した大先輩達、何度も共演した皆さんでした。そして、オペラの中で長年相方を務めて下さったバリトンさんが、いつものあの声でかけあい歌いだされました。歌の仲間お仲間が次々と立ち上がり、ホール全体が揺れるような大合唱になりました。なんということでしょう!こんなご褒美があるでしょうか。なんと私は幸せな歌い手なのでしょう。人の優しさと歌声のたのもしさに包まれ、感謝を込めて超えた喜びの中で歌い収められたことをご報告いたします。


今回の練習過程では何度も限界を痛感させられましたし、ここ数年のコンサートでは 今日が最後のステージになっても悔やまない歌を歌おうと思ってきました。本気で引き際を考える瞬間も少なくなくありました。でも今は、もう少し上手くなるまで続けようと思っています。限界も見えたけれど、手つかずの所も発見できました。だから今日もピアノの傍らに立ち、人様にはお見せできないような方法を駆使して、私は嬉々として新しいチャレンジをしています。きっと明日も明後日も。

ありがとうございました。本当にありがとうございました。

篠田弘美



追記


この度はチケットのご購入方法についてご不便をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。


主催者の方針により、今回コンビニエンスストアでのチケット販売のみとなり、ご案内が行き届かず、例年のような会場受付での取り置きを期待されていた方や当日券があると思われていた方が多くいらっしゃったとのこと、大変申し訳なく思っております。


私自身も、できる限り多くの方にご来場いただきたく、事前にSNSやお便り等でご案内をさせていただきましたが、結果としてチケットが早期に完売となりました。お聴きいただけなかったことを私自身も残念に思っています。


今回の件を真摯に受け止め、チケット販売方法や告知方法について改善策を検討してまいりたいと存じます。

今後とも、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 
 
 

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